研究概要 |
不規則に変動する背景領域を生成するための基礎技術を開発するために,画像データの収集,映像編集システム開発のためのソフトウェア環境の整備,そして基本画像処理アルゴリズムの開発の研究を行っている. まず,樹木や草などの映像は公開されている適当なデータベースがないため,主要設備として導入したパーソナルコンピュータと高精細CCDカメラを用いて,屋外で撮影した画像を収集している.これと並行して,背景変動のうち動き成分の解析に焦点をしぼり,時系列オプティカルフローと濃淡分布に基づく画素単位の移動領域およびその輪郭の抽出のための画像処理アルゴリズムを提案し,パーソナルコンピュータ上に実装している.この画素単位の運動解析アルゴリズムは,画像上の微細な対象の動きを捉えることができ,背景画像の再構成のために必要となる.さらに,より大きな対象の動きを解析するために,領域単位のトラッキングアルゴリズムを提案している.ここでは,外乱による突発的な運動変化に対応するために,投票に基づく領域抽出と,数値的逐次ベイズ推定法である逐次モンテカルロフィルタに基づくトラッキングを組み合わせた手法を提案している.これらのアルゴリズムにより,冗長な時系列運動データの削除が可能になり,自然な動きを再構成する映像編集システムのための基礎技術が開発できたことになる. 以上を要するに,本年度では,本研究において核になる画像解析エンジン部に関する研究が終わり,次年度以降の研究のための準備段階を終了しており,当初の目標を十分に達成している.
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