研究概要 |
現在,自動車交通の知能化,効率化等を目的としてITS(高度道路交通システム)に関する研究が様々な機関で研究されている.この中で,ドライバの運転負荷軽減を目的として様々な運転支援システムが提案されている.現在の運転支援システムは,基本的にドライバの運転行動に対して車両側が受動的な運転支援を行うシステムのみである.一方今後迎える高齢化社会においては,より車両側で判断し能動的に支援を行う高度な運転支援システムの必要性が増大するものと考えられる. 能動的な運転支援システムを実現するためには,車両側で車両周囲環境を詳細に把握する必要がある.そこで,地図情報とセンサから得られる車両周囲の実三次元環境情報を融合し,白線の存在しない一般道を含めた全ての道路環境において車両周囲環境を認識し,とるべきコースを把握することを目的とする. 研究初年度である平成16年度は,特に一般道で使用可能な三次元環境認識アルゴリズムの開発および車両の位置推定に関して研究を行った.具体的には,ステレオビジョンシステムを用いて車両周囲の広範囲かつ詳細な三次元距離分布をリアルタイムに取得する計算アルゴリズムと,RTK-GPSおよび内界センサ情報を拡張カルマンフィルタに基づき統合することでリアルタイムかつ高精度に車両位置推定を行う手法を提案した.このなかで,車両位置推定に関してはGPSレシーバがマルチパスの影響を受ける場合についても対応可能な新しいアルゴリズムの提案を行った.本アルゴリズムはχ^2検定法に基づき,センサ値が信頼できるか否かを確率的に判定するアルゴリズムである.本手法は,センサフュージョンを行う様々な手法に対して汎用的に有効な手法である.
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