研究概要 |
現在,自動車交通の知能化,効率化等を目的としてITS(高度道路交通システム)に関する研究が様々な機関で研究されている.この中で,ドライバの運転負荷軽減を目的として様々な運転支援システムが提案されている.現在の運転支援システムは,基本的にドライバの運転行動に対して車両側が受動的な運転支援を行うシステムのみである.一方今後迎える高齢化社会においては,より車両側で判断し能動的に支援を行う高度な運転支援システムの必要性が増大するものと考えられる.能動的な運転支援システムを実現するためには,車両側で車両周囲環境を詳細に把握する必要がある.そこで,地図情報とセンサから得られる車両周囲の実三次元環境情報を融合し,白線の存在しない一般道を含めた全ての道路環境において車両周囲環境を認識し,とるべきコースを把握することを目的とする. 平成18年度は,前年度開発を行ったステレオビジョンに基づく三次元環境認識アルゴリズムのリアルタイム化を行うため,FPGAを用いてアルゴリズムのハードウェア実装を行った.また従来の我々のアルゴリズムでは,取得したステレオ画像の全範囲にわたって固定ウィンドウサイズで視差演算を行っていたが,画像の特徴量に応じて適応的にウィンドウサイズおよび形状を変化可能なアルゴリズムを新たに構築することで測距精度の向上を行うことが可能となった.一方,前年度開発を行ったRTK-GPSおよび内界センサに基づく位置推定アルゴリズムについては,従来我々のアルゴリズムでは拡張カルマンフィルタを用いて中央集中的にセンサフュージョンを行っていた.本年度は,新たにInformation FilterおよびCovariance Intersection法を用いた分散型の位置推定システムの提案を行った.これにより並列処理による処理負荷軽減を実現したと同時に,センサ故障や外部環境によるセンサ精度劣化に対してロバストな位置推定が可能となった.
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