研究概要 |
本年度は,大量カメラから得られる観測情報を統合する際に考慮しなければならない,各カメラで生じる観測の不正確さについてのモデル化と,その不正確さを解消するいくつかのアプローチについて研究を行った. (1)照明環境と観測情報との関連性 表面反射モデルに基づき,観測情報の不正確さを最小とするような照明環境が物体形状に応じて異なるという現象をモデル化し,このモデルと大量カメラからの観測情報に基づいて多数の点光源をコントロールすることで最適な照明環境を構築するアプローチを検討した.次年度はこのアプローチをさらに発展させ,適切な照明環境を動的に構築することで大量カメラからの観測情報を時系列に統合させる手法を検討する予定である. (2)マルチカメラの相互補完によるシルエット情報の不正確さの解消 カメラでの観測情報の不正確さの代表的な例として,物体のシルエット抽出の失敗が挙げられる.このシルエット抽出の失敗に対処するため,ランダムパターン設置による撮影環境の適応と複数カメラでの共通観測領域の相互補完的な利用を併用した手法を検討した. (3)観測情報の統合による高精度3次元復元 物体の運動を計測するカメラと物体の形状を計測するカメラを併用し,それぞれからの観測情報を統合することによって高精度な人体形状を計測する手法や,時系列に統合された観測情報より多関節物体の形状と運動を同時に推定する手法の検討を行った.次年度は,情報統合によってどの程度獲得精度が向上するかについての理論的な考察を行う予定である.
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