研究概要 |
本年度は、M系列の位相検出能力の調査、濃淡画像に対する提案アルゴリズムの実装および種々のフォーマットに対する頑健性を調査した。 M系列は、ランダムなビット系列であり、ある種によりその系列が生成される。このビット系列を構成するそれぞれのビットに対して、ある確率でエラーを発生させる(ビットを反転させる処理を行うことに相当する)。そのビットエラーが発生したM系列の位相をある程度変化させ、新たなM系列を生成する。本年度は,生成されたM系列とオリジナルのM系列との位相差を計算し、正確な位相差が計算できるビットエラーの限界値を、実験的に調査した。 画像データには濃淡画像、限定色カラー画像やフルカラー画像等があるが、本年度は,データ構造が最も単純な濃淡画像をカバーデータとする場合の埋め込みアルゴリズムを,C言語を用いて計算機上に実装した。 非可逆符号化としてJPEGが最も有名であるが、近年、JPEG2000なる新たなフォーマットが提案され、次世代フォーマットとしての期待が高まっている。そこで、本研究では、JPEGとJPEG2000を非可逆画像符号化フォーマットとして利用する。非可逆符号化では、符号化後のデータ量は可変であり、そのデータ量が少ないと画素値の変化も大きくなり、埋め込まれた情報を抽出することが困難になる。JPEGおよびJPEG2000には、符号化後のデータ量を調節するパラメータ(JPEGではQ-Factor、JPEG2000ではrate値)が存在する。そこで、本年度は,本アルゴリズムで情報埋め込みを行った場合に、それらのパラメータ値をどの程度まで変化させても、埋め込まれた情報が正確に抽出できるかを実験的に調査した。
|