研究概要 |
本年度は、提案手法をカラー画像へ適応させた。具体的には、まず色空間が埋め込み抽出に与える影響を調査し、次いてカラー印刷物をカバーメディアとした場合の提案手法の能力について調査した。 フルカラービットマップ表現からJPEG圧縮、伸張そしてフルカラービットマップ表現というデータの流れを考える。カラー画像は計算機上では一つの色空間内で表現される。RGB色空間がよく利用されるが、JPEG等のカラー画像圧縮ではYCbCr色空間が利用される。この2種類の色空間を用い、ビットマップ表現時に埋め込んだ情報が、JPEG圧縮を経由することにより、どの程度抽出できるのかを調べた。実験の結果、YCbCr色空間を利用した場合に良好な結果が得られた。これは、途中で経由するJPEG圧縮がYCbCr色空間内で行われる、Y成分をできるだけ保存するような方式である,という2点からRGB色空間よりも良好な結果が得られたと考えられる. カラー印刷物をカバーメディアとして実験を行った。フルカラービットマップ表現時に情報を埋め込み、そのデータをプリンタへ出力する。紙面上に印刷された画像データをスキャナで読み取り、計算機内でフルカラービットマップ表現に変換する。ビットマップ表現時に情報を埋め込み、再構成されたフルカラービットマップ画像から情報を抽出する。従来法の場合、埋め込み位置が第2ビットプレーンであることと隠匿情報を表すパターンが規則的な特徴を持つため、画像を拡大するとパターンの存在をはっきりと認識することができる。一方,提案法の場合、埋め込み位置が第5ビットプレーンであることと秘密情報を表すパターンが画像上の雑音に近い変化をしているため、拡大しても不自然なパターンが生成されていなかった。
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