研究概要 |
工場等では人間とロボットの共同作業によって製品を製造することは常識となってきている。現在のロボット(特にロボットアーム部)の表面は金属製のボディーであり、人間と接触すると危険である。今後は、医療や福祉にロボットを使用することは問違いなく、作業ロボットと人とが接触する可能性が高くなる。例えば、ロボットと人間の間で予想をしていなかった接触が起こった場合に、荷重、荷重位置や荷重方向を検出することができず、そのままロボットが動けば、人に危害を与えることは容易に想像できる。 本研究では、ロボットのアームやボディー等の広い範囲に設置できる柔軟接触による荷重ベクトル測定センサを開発することを目的とした。この荷重ベクトル測定センサは、数mmの間隔で電極(マイクロスイッチ)を配置したセンサである。これは、球状シリコンが荷重を受けて変形し、荷重に応じた面積のスイッチが入る。このスイッチによって面積を測定して荷重を測定できる構造になっている。 本年度の研究によって明らかになったことを次に示す。 ・材料特性の評価:荷重ベクトル測定センサに使用する軟質樹脂材料を選定するために、種々の樹脂や軟質樹脂中に添加剤を混合した複合材料を作製し、荷重測定に最適な材料特性を有する新しい軟質樹脂を選定した。 ・センサ構造の最適化:センサの配線パターンとスイッチの配置、電圧と荷重の関係をシミュレートしてセンサ構造の最適化を図った。 ・センサの試作:上述で得られた結果から荷重ベクトル測定センサの試作モデルを作製した。試作モデルでは、プリント基板にエッチングによって様々なパターンの電気配線を行い,マイクロスイッチを作製した。 ・荷重ペクトルの演算処理:荷重ベクトル測定センサによって得られた信号をセンサインターフェース(A/Dコンバータ)を介して演算処理用コンピュータに取り込み、荷重を画像として表示した。
|