本年度は、ロボットが実世界の状態を参照する際に必要となる情報を取得するために、センサネットワークを構築した。ロボットの状況取得は、ロボットに搭載されたセンサや、環境に配置されたセンサを利用することが殆どであった。しかし、ロボットが人間とコミュニケーションする際には、より細かく環境の情報を把握する必要がある。例えば、ロボットの周囲にどのような物が置かれており、それらの配置はどのようになっているのかといった、各物体に関する情報である。本研究では、物体にセンサを取り付け、取り付け関係に依存する形で世界の記述を生成する機構を開発した。物体に関する属性情報や推論規則を物体のクラス定義として用意することにより、センサネットワークに繋がれた物体間の関係を容易に論理表現に変換することを可能とした。さらに、物体にセンサが取り付けられると、クラス定義を基本としたデータ構造がインスタンスとして生成され、世界記述のベースとなる。具体的なデータ構造は、センサデータとメタデータで構成されており、世界の記述を記号処理によって容易に検索可能となっている。特に、記号処理と推論を用いたクエリインタフェースを用意し、実世界の状況検索をロボットから可能にした。本機構により、ロボットは、世界の状態の検索、監視をすることができ、人間とのインタラクションに必要となる情報をセンサネットワークより獲得可能となっている。また、事実を新規に追加可能なので、世界モデルを動的に更新することが可能となっている。
|