研究概要 |
自律行動ロボットが外界を認知する手法を考えた場合、聴覚センサは全方位からの情報を効率よく獲得できるため、ロボットの環境把握のためにはなくてはならない手法である。このような聴覚システムを実現するためにはロボットが遭遇するであろう音源の種類をあらかじめ選択、記憶させておく必要がある。しかし自律行動ロボットの活躍範囲が拡大している昨今においては、ロボット行動範囲を限定してあらかじめ特定の音を記憶させることは妥当ではない。そこで、本研究では自律ロボットのための汎用的な聴覚システムを構築し、ロボットがその活躍の場において発生する音の種類を各個に学習することをめざし、環境に適応して周囲に存在する複数の音の種類を分離して学習分類する聴覚システムの実現を行った。3年計画の第2年度として、本年度は入力信号の位置情報に着目して複数音源の分離手法を検討した。分離手法としては、我々により既に提案されているパルスニューラルネットワークを用いた入力信号間時間差の抽出モデルを用い、入力信号中に異なる周波数成分からなる複数の音源があった場合にはそれぞれの音源位置に相当する時間差情報を同時に抽出できるようモデルの改良を行った。本研究の成果については、電子情報通信学会ニューロコンピューティング研究会において発表を行い、また本件に関して特許の出願を行った。(特願2005-362915,「時間差検出器」)。また、前年度の成果である教師なし学習ネットワークCONPの拡張ネットワークCOMP-IIに関して、現在、電子情報通信学会D-IIの論文として条件付き採録の通知を受けており、現在修正原稿について審査中である。
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