研究概要 |
研究代表者らによって提案した高次元離散時間ニューロンモデルから構成されたニューラルネットワークのもつ特性を把握するために,初年度である平成16年度は1次遅れ自己フィードバックをもつ単一ニューロンモデルを構成し,そのダイナミクスを解析した.このモデルは1個のニューロンからなるニューラルネットワークモデルと等価であるため,このモデルに関する知見を蓄積しておくことは,本研究課題を遂行する上で非常に重要である.さて,バースト振動は生体内で重要な役割を担うとされている.自己フィードバックをもたない提案モデルにおいては,2周期点に対するホップ分岐と同時にバースト振動が生じ,ニューロンの内部状態に関して準周期的となっていることが研究代表者らによって既に示されていた.しかし,自己フィードバックをもつ提案モデルにおいては,2周期点に対するホップ分岐の発生後にバースト振動が生じることが明らかになった.しかも,バースト振動が生じている際には内部状態が準周期的ではなく,カオス的に振動していることも明らかになった.この研究成果は2005年3月に行われる電子情報通信学会総合大会において発表予定である.また,2005年4月に行われる第18回 回路とシステム軽井沢ワークショップにおいて採録が決定されている.平成17年度は,まず1次遅れ自己フィードバックをもつニューロンモデルにカオス的バーストが生じるメカニズムを詳細に解析していく.このカオスは2周期点のホップ分岐で生じた不変閉曲線が崩壊することで発生していると考えられるため,数値的検討や理論的考察を行うことで解明を進める予定である.
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