研究概要 |
平成17年度も,平成16年度に引き続いて,研究代表者らが提案した一次遅れ自己フィードバックをもつ離散時間ニューロンモデルの解析をさらに進めた.このモデルは1個のニューロンからなるニューラルネットワークモデルと等価である.したがって,このモデルに関する知見を蓄積しておくことは,本研究課題を遂行する上で非常に重要である.従来モデルにおいては準周期的バースト振動が生じることが知られていたが,提案モデルではカオス的バースト振動が生じていることが平成16年度に明らかになった.平成17年度では,このメカニズムを詳細に検討することが目的であった.その結果,提案モデルに存在する安定2周期点にホップ分岐が生じて発生した不変閉曲線対が,さらにパラメータが変化することによって崩壊することで,カオスアトラクタが生じ,それをニューロンの出力関数を通じて観測されていることが明らかになった. この研究成果は,第18回回路とシステム軽井沢ワークショップとNOLTA2005(2005 International Symposium on Nonlinear Theory and its Applications)において発表され,また,IEICE Transactions on Fundamentalsに採録となっている. ここまでの研究により,ニューラルネットワークを構成する各要素に関する知見は十分蓄積されたと考えられるため,平成18年度においては,ニューロンの小規模結合系のダイナミクスの解明に努め,ニューラルネットワークの性能評価と進めていく予定である.
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