研究概要 |
本研究の自的は,多視点映像を用いた幻想的な映像制作術をデザイン技術として普遍化する可能性を探ることである.平成16年度は以下の研究活動を行った. 1.3次元コンピュータグラフィクスにおける多視点映像生成技術の開発 (1)前年度までに開発した多視点映像生成技術における画像解像度に関する問題を解決した.また投影法として透視投影だけではなく,平行投影や逆遠近投影が可能な多視点映像生成技術を開発した.この技術は,情報処理学会論文誌に報告した. (2)開発した多視点映像生成技術を3次元コンピュータグラフィクス作成ソフトウェアに実装した.これにより,多視点映像の3次元コンピュータグラフィクスを容易に生成できるようになった. 2.多視点映像の制作と,レンダリング技術の問題点の発見 (1)多視点映像生成技術を実装したソフトウェアを使用して,3次元コンピュータグラフィクスによる多視点映像を5つ作成した.これらは,1視点の状態から多視点の状態への遷移の仕方を変更した.これにより,開発した技術を用いて多視点映像が制作できることが確認された.また,多視点への遷移の仕方によって,見ている人に与える心理的な影響や,映像効果が異なる傾向が見られた. (2)多視点映像の制作過程で明らかになったレンダリング技術の問題点を考察した.問題点としては,物体同士が接している場合に,影の表現に不自然さが大きいことが発見された.また,一つの物体においても部位毎に視点が異なる場合に対して更なる技術的改良の必要性があることを確認した. 3.予定していた多視点映像の心理効果に関する実験は実施することができなかった.これには,多視点映像を効果的に用いる方向性を明確にする必要があることがわかった.次年度は,多視点映像を使用して芸術性を向上させる,人間の知覚に近い映像をつくる,ということに注目して引き続き映像を制作し,実験を行う予定である.
|