研究概要 |
本研究の目的は,非同期回路理論を用いたファジィ論理回路実現であり,非同期回路理論を用いて設計された,基本演算回路やファジィ論理回路特有の機能回路(メンバーシップ関数の記憶,演算回路),また,それらを利用した非同期型ファジィ推論システムを,回路シミュレータやソフトウェア上で試作・動作させ,実用に向けての問題点を洗い出し,それらの基本性質や特徴を明らかにするとともに,実際の回路化に向けての方針を確立する事である. その中で平成16年度の成果は,次にあげる基本回路のプロトタイプを考案し,動作原理を検討するとともに,問題点の洗い出しや基本回路に対する考察を深め,より大きな回路モデル構築へ向けての準備段階とした. <試作基本回路> ・基本演算回路:ファジィ論理回路における基本論理演算を行う回路 ・基本機能回路:メンバーシップ関数の保持,メンバーシップ関数演算回路 ・推論基本回路:ファジィ推論を行う際の基本演算素子 ・非同期制御回路:各回路における非同期信号の伝播を管理する回路 ・推論規則保持回路:ルールベース情報の管理 ・ファジィ化回路:数値入力に対し,ファジィ化を行う回路 ・非ファジィ化回路:推論結果を数値に戻す回路 ・マッチング回路:メンバーシップ関数の一致度を計算する回路 またこれらの回路は,2値論理上の非同期回路の構築方法として存在する「2線2相方式」,「2線遷移方式」,「パリティ交番方式」を代表とする2線式表現手法を基にファジィへの拡張を行い,その試作・考察をした.その考察過程において,ファジィ非同期回路における2線式表現に関する検討を行い,その本質とは符号化関数の定義によりデータとクロック情報をいかに融合し2線の信号として生成するかという点にある事を纏めた.その内容は第14回インテリジェント・システム・シンポジウムにおいて「2線式非同期ファジィ論理回路の性質について」として発表を行った.
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