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2005 年度 実績報告書

シンプレクティック・セル・オートマタに高次機能が創出される条件の探究

研究課題

研究課題/領域番号 16700228
研究機関独立行政法人大学評価・学位授与機構

研究代表者

野澤 孝之  独立行政法人大学評価・学位授与機構, 評価研究部, 助手 (60370110)

キーワードシンプレクティック・セル・オートマタ / 高次機能 / 創発 / システム / 部分パターン安定性 / 対称性 / 保存量 / 代数的記述
研究概要

シンプレクティック・セル・オートマタ(SCA)は解析力学的な数理構造の離散的対応物を持ち,その力学法則の複雑さは発展規則が含む非対称性として設定可能である.また,代表者らは「高次機能(システム)の創発」を代数的な表現で定式化する手法を提案している.本研究課題はこれらを組み合わせ,SCAにおける力学法則の複雑さと高次機能創発との対応を探るものである.
SCAの対称性と保存量の関係について前年度おこなった基礎付けに基づき,本年度は代表者の提案する代数的手法で高次機能の創発条件について探索を実行した.代表者の手法では,SCAの一般化部分パターン(通常の意味での部分パターンに確率密度を付与したもの)の間に,それらの安定性(閉鎖性)を評価した順序関係(以下,安定性順序)を定義することが必要である.前年度は単純な順序関係を用いて予備的探索を行ったが,本年度はこれを拡張し,熱力学的エントロピー,空間相互情報量,部分パターン間距離などに基づく安定性順序を用いて探索を行った.
本研究の当初においては,複雑系科学で言及される「カオスの縁」に対応した,高次機能に結びつく力学法則の「非対称の縁」の存在を予想していた.高すぎる対称性(保存量の過多)は局在不変構造により相互作用の伝達を妨げ,他方で低すぎる対称性(保存量の欠如)は力学をカオス的にし,高次機能の成立に必要な自己組織構造の形成を妨げると考えられるためである.しかし本年度おこなった探索では,明確な「非対称の縁」の存在は確認できなかった.考えられる原因の一つは安定性順序の不完全性である.エントロピー・情報量では状態を名義的に扱うため計量的な非線形性が評価に取り込まれず,部分パターン間距離の総体的評価は大きな計算量を要するため探索への適用範囲が限られた.今後,エントロピー的指標と粗視化操作の融合により計量的側面をとりこんだ安定性順序を模索したい.
なお本年度までに得られた知見は消極的なものではあるが,今後なるべく早い時期にまとめ発表する予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] パターンダイナミクスにおける代数的部分安定性-可逆CAにおけるシズテム創発への端緒-2006

    • 著者名/発表者名
      野澤 孝之
    • 雑誌名

      第18回自律分散システムシンポジウム講演論文集

      ページ: 327-332

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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