研究概要 |
部屋の中を自由に動くロボットの視覚時系列信号から,ロボットの位置と向きの情報を分離抽出する自己組織化神経回路モデルの開発をおこなうことが本研究の目的である.研究の第2年度たる平成17年度においては自己組織化モデルを発展させることを重点項目とした.その結果,次の2つの成果が得られた. 第一に,昨年度,開発をおこなった,二枚の自己組織化マップの間に反ヘブ学習をおこなう神経回路網モデルについて,その情報処理能力を検証した.この神経回路モデルは,高次元信号空間に埋め込まれている低次元の本質的な構造を自動的に抽出する自己組織化モデルとなっているが,そのモデルを使い,大脳皮質視覚野における複雑型細胞の反応選択性を説明することに成功した. 第二に,自己組織化をおこなう基本モジュールとなっている自己組織化マップを二枚利用し,それらを繰り返し利用することにより,高次元信号空間に埋め込まれている低次元の本質的な構造を自動的に抽出する自己組織化モデルを開発した.この神経回路モデルでは,それぞれの自己組織化マップは,高次元信号の入力次元をある程度落とすことに,もう一方の自己組織化マップの結果を利用している.二枚の自己組織化マップを繰り返し利用し計算を進めることにより,適切な解が得られるのではないかという期待をもち本モデルの開発をおこなった.この手法を単純な問題に応用したところ,入力信号を前もって 1)ランダムベクトル,2)主成分ベクトル,でそれぞれ写像し表現した場合と比較し,それらよりよい結果が得られた.これらについて,国際会議において発表をおこなった.
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