本年度の調査研究では、以下のことをおこなった。 (1)これまで収集した台湾における量的データ(2003)分析とその結果について学会発表 情報通信学会(2004年6月:於;明海大学)において「台湾における携帯電話イメージ」を発表した。2001年の日本調査、2002年の韓国調査と2003年の台湾調査の結果から、次のようなことが明らかとなった。携帯電話は、3カ国ともに「大人になってから利用するメディア」と認識されている。パソコン、新聞、テレビ、漫画は、各国半数以上の人が、小学生までの利用を適齢だと考えている。いっぽう、3カ国で差異のあった項目は、「犯罪の増加」イメージがあまりない韓国、「電磁波のおそれ」を示す台湾、「公共のマナーの悪化」イメージをもつ日本とまとめることができる。それぞれの社会がもつ独自の文脈のなかで、新しく定着したメディアへの評価がおこなわれていると結論づけることができる。 (2)そのデータ分析にもとづいた結果に関するヒアリング 台北市と台南市において、上記のデータをもとに若者のメディア利用と日常生活について9名程度のインフォマントにヒアリング調査をおこなった。 (3)韓国の地方都市における若者のメディア利用と政治意識に関するヒアリング調査 韓国では、おもに政治的な行動とメディア利用について他のアジア諸国とは異なった関連がマスメディアによって対外的に報道されている。それは、若者の政治行動において、携帯電話やインターネットなどが彼らの動員に重要な役割を果たしているというものであるが、その状況を実態把握のためのヒアリングをおこなった。 (4)香港における若者のメディア利用と日常生活に関するヒアリング調査 地価高騰をおこしている近年の香港において、これまでの血縁に関わる意識や行動が、メディア利用とともに徐々に変容しているといわれている。このような点を中心にヒアリング調査をおこなった。
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