研究概要 |
日頃何気なく聞いている歌謡曲が、人々の生活や世情を反映しているのかを明らかにするために調査した。特に戦後の家族の関係は大きく変化してきたと言われている。もし世情を反映しているのならば、どのように反映しているかを、歌謡曲の歌詞の中で家族関係に注目して、分析することにした。 歌謡曲の先行研究においては、歌詞の分析と曲(音階)の分析に大別できる。その中で、歌詞の分析には、社会心理学的な分析、計量国語学的な分析などがあった。ここでは歌詞のキーワードから曲を選定し、量的な分析と質的な分析を行うことにした。 歌謡曲についての研究方法と同様に、他の大衆文化についての分析方法を参考にするために、サブカルチャーについて調査した。音楽と言葉(歌詞)を組み合わせた歌謡曲と、絵と言葉を組み合わせたマンガとは共通点があると考えた。歌謡曲と同様にマンガもまた研究方法が確立されてはいない新しい研究の対象であるが、マンガの分析方法についても調査した。 今回の歌謡曲の調査では、多数ある歌謡曲集から「歌謡曲大全集」(全音楽譜出版社)を対象とした。こちらの歌謡曲集は戦前から現在に至るまで発表された歌謡曲の中から人々によく聞かれている(ある程度商業的に成功している)曲が収録されている。この歌謡曲集に収録されている歌謡曲の中で戦後から現在までに発表された3,880曲を対象にした。それらの曲の中から、家族関係の中で、とくに夫婦関係に関する曲を取り上げた。キーワードとしては「夫」、「妻」や「夫婦」と共に「結婚」「離婚」などを設定し、そのキーワードを持つ曲の中から176曲を選んだ。これらの曲について、歌手、作詞家、歌詞の内容、時代背景などを調査した。
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