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2004 年度 実績報告書

運動視及び両眼視における透明面知覚機序の基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16700247
研究機関室蘭工業大学

研究代表者

渡部 修  室蘭工業大学, 工学部, 講師 (50343017)

キーワード運動視 / 両眼視 / 初期視覚 / 透明視 / 多重表面 / エネルギーモデル / ポピュレーション符号化 / LPD刺激
研究概要

人の透明面知覚がどのようなメカニズムで実現されているのかという問題は,脳の視覚情報処理を明らかにする上で本質的に重要である.本研究では,運動視及び両眼視モジュールに焦点を絞り,その細胞集団(ポピュレーション)の透明面符号化の特性や限界を理論的に明らかにするとともに,対応する心理物理学実験を行うことで透明面知覚機序の解明を目指している.
本年度は,大きく分けて二つの研究を並行して進め,以下のような成果を得た.
1.多重表面検出の拘束条件とmetamer錯視の導出
物理的には異なるが,ポピュレーション応答が類似しているために区別できない刺激の組をmetamerと呼ぶ.本研究では,任意の二刺激に対する応答の類似度を定量的に評価する数理モデルを構築するとともに,様々な類似度を持つ二重運動と三重運動の刺激組を実際に構成し心理実験を行った.この結果,類似度が一定の値を超えると表面数の少ない面が知覚されやすくなることを明らかにした.この知見から,脳ではスパースネスの条件がsoft constraintの形で用いられ,常に最も近い二重運動が知覚されるのではないことが示唆された.
2.表面間干渉の心理物理学的研究
一般に透明面は単一面に比べて知覚し難いことが知られている.本研究では,運動方向の知覚精度を心理実験により測定し,このデータを定量的に説明するモデルを構築した.その結果,透明面検出のコストは,脳のノイズ除去機構が透明面では機能しないために生じていることが示唆された.また,重畳パターン間に相関のある特殊な刺激(LPD刺激)では運動視,両眼視ともに透明面を正しく検出できず,パターンの相関を下げると再び透明視が生じることを心理実験で明らかにした.この結果は,エネルギーモデルで生じる表面間干渉応答で説明できる.これらの知見から,脳には透明視に特化した表面検出機構が存在しないことが示唆された.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] Nonlinearity of the population activity to transparent motion2005

    • 著者名/発表者名
      Osamu Watanabe
    • 雑誌名

      Neural Networks 18・1

      ページ: 15-22

  • [雑誌論文] 運動透明視とその脳内表現2005

    • 著者名/発表者名
      渡部 修
    • 雑誌名

      Vision 17・1

      ページ: 39-48

  • [雑誌論文] 多重表面の知覚と脳内表現2004

    • 著者名/発表者名
      渡部 修
    • 雑誌名

      日本神経回路学会誌 11・2

      ページ: 74-81

  • [雑誌論文] 視覚系における局所的及び大域的運動統合メカニズムの独立性2004

    • 著者名/発表者名
      渡部 修
    • 雑誌名

      電子情報通信学会論文誌D-II J87-D-II・11

      ページ: 2074-2078

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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