研究概要 |
二値観測寿命試験は、状態の測定に破壊試験を必要とするような製品・アイテムのための試験方法であり、高々一回しか検査できないという非常に強い制約を持っている。その一方で、様々な市場で新製品のリリース間隔は短くなってきており、寿命試験に費やせる期間も短くなっている。そのため、製品の寿命特性をある程度把握してからしか試験できない計画よりは、即座に試験を始め、徐々に観測計画を調整していく逐次試験計画の整備が望まれる。 昨年度のBergman and Turnbullの逐次寿命試験計画(Bergman and Turnbull, 1983)のワイブル分布の情報に基づいて改良する試みに続き、今年度は等間隔試験から始め、故障数の推移を見ながら、最適な観測計画を予測する試験計画を提案した。最尤推定値を最適計画に基づくプラグイン予測量を用いた場合についての数値的な検討では、ワイブル分布の形状母数の推定精度について、二倍以上の推定効率の向上を実現していることが確認された。尺度母数にはほとんど精度の向上が見られていないが、形状母数の向上とあいまって、全体的にはかなりの精度向上が期待できている。特に全体の数割が故障したら予測計画を採用する、という単純な計画によっても、一定の精度向上が見込めたことから、今年度の研究の方向性の確かさが見込まれる。 次年度にはその改善の数学的な証明と、より精緻で使い勝手の良い試験計画の立案の二つが検討課題として残っている。
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