研究概要 |
本研究は,統計解析システムにおいて,数式を直接に利用できるようなユーザインタフェースおよび統計解析言語を実現することで,ユーザの利便性を高めることを目標としている.統計解析におけるほとんどの統計モデルが数式で記述できることから,数式の取り扱いが統計解析システムにおいても重要な役割を果たす.しかし,既存の統計解析システムの多くは数式を直接に扱うことができない.したがって,本研究で実現する,数式が直接に利用できるということにより,さまざま利点がユーザにもたらされる.具体的には,直感的なプログラムの記述,認識が可能となる.さらにXML技術を用いることにより,プログラム,ライブラリなどをさまざまなシステム,アプリケーション間で相互利用でき,資源を有効に利用できるようになる. 本年度では,前年度に引き続き,数式を統計解析システムで利用するための言語設計のさらなる改善と,それにともなう実装を行った.実装においては,汎用統計解析システムJaspに対し,数式表現を用いたプログラミングと実行ができるように拡張を施した.数式はその意味と表現という2つの特性をもつが,本年度では数式の意味の観点から数式を入力,編集できるような実装を行った.これは,統計解析システムのように数式を評価,実行するというシステムでは適した方法であり,ユーザに対するインターフェースとして優れているといえる.また,数式の表現においてもユーザ自身が選択できるようにしており,統計解析システムのユーザインタフェースとしての新たな実現といえる.
|