研究概要 |
今年度は,現在,われわれが開発している統計解析システムJasp(Java based statistical processor)に組み込まれているサンプルプログラムをUMLのモデル図で表すことを検討しながら統計計算のプログラミングにおいてUMLを効果的に適用することに関する考察を行った. 一般に,UMLのクラス図を利用してJava言語のプログラムを生成することができる.しかし,これは,スケルトンと呼ばれるものであり,Java言語のクラスとメソッドとフィールドの定義だけである.メソッド内部の処理は,キーボードを利用して入力しなければならない.この問題を解決するものとしてMDA(Model Driven Architecture)が注目されている.MDAは,スケルトンではなく,完全なプログラムをクラス図から生成することができる. そこで,MDAの利用についての検討を行った.しかし,現在のところ,まだ,MDAを容易に利用できるソフトウエアが公開されていないため,Jaspへの組み込み作業を開始することはできなかった.MDAを利用できるソフトウエアが公開されれば組み込みについての検討と作業を開始する予定である. また,UMLを利用したプログラミング環境において,統計計算だけでなく計算結果を表示するプログラムについても検討する必要があることが明らかとなった.統計解析では,計算結果を数字だけでなく,グラフなどで表示することも非常に重要である.しかし,計算のためのプログラムとグラフ表示するプログラムは大きく異なる.表示を行うプログラムでは,MVCやイベント処理などを考慮しなければならない.このようなキーワードをUMLによって容易に扱えるようにできるのではないかと考える.
|