研究課題
本研究の目的は、非線型の力学方程式や非ガウスの擾乱要素を含む数値モデルに対して、高次元のデータを同化するための新しい計算技法を開発することである。本年度は、Zebiak and Cane [1987]の結合モデルに対するアンサンブルカルマンフィルタ(EnKF)を用いた同化実験を実施し、より適切な観測ノイズ、システムノイズを設定することに主眼を置いた。Zebiak and Cane [1987]のモデルは、いくつもの非線型のプロセスを内包しているため、標準的なカルマンフィルタ・平滑化のアルゴリズムはもはや使えない。そこで、EnKF [Evensen,2003]を用いて、多数個の実現値を用いてカルマンゲインを近似することで対処することとした。EnKFによる同化にあたって、観測ノイズおよびシステムノイズの分散共分散行列を設定する必要がある。観測ノイズについては、各観測グリッド上での海面高度データの時系列に対して1階トレンドモデルをあてはめ、データからの残差を用いて観測ノイズの分散共分散行列を推定する。ハイパーパラメータの比τ^2/σ^2は10^<-3>に固定することとした。システムノイズは、海面水温にガウスノイズとして加えた。ガウスノイズ発生のための分散共分散行列は、グリッド間距離に応じたノイズの相関を仮定した。以上の設定にもとづく実験により、海面水温にシステムノイズを与えることで、適切なフィルタリングが可能であることを示した。
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Geophysical Research Letters 32・3
ページ: doi;10.1029/2004GL021891
Journal of Geophysical Research 109・5
ページ: doi:10.1029/2003JA010299
Annales Geophysicae 22・8
ページ: 2775-2783