研究課題
老化促進モデルマウスの一系統であるSAMP10マウスは、加齢に伴う脳機能障害を呈し、病理学的には前頭部大脳皮質の萎縮を特徴とする。本系統マウスでみられる神経変性過程への酸化的ストレスとミトコンドリア異常の関与につき、in vitroの系で解析することを目的として本研究を開始した。本年度はまず、大脳皮質神経細胞の初代培養系を確立した。これまでにニューロン・グリア共培養系を既に確立していたが、グリア細胞の影響をできる限り排除するために、純粋な神経細胞からなる培養系に切り替える必要があった。そこで、無血清培地(Neurobasal^<TM> medium+B27 supplement)を用いて胎生17日齢胎仔由来の大脳皮質より培養を行ったところ、神経細胞が90%以上を占める高純度の培養系が得られ、in vitroで4週間にわたり神経細胞の生存を維持することができた。この過程において、グリア細胞の増殖はわずかであった。この系を用いて、SAMP10マウス、およびコントロール系のSAMR1マウス由来の大脳皮質神経細胞を長期間培養し、in vitroでの生存率の違いについて検討を行った。また、培養液に添加するsupplementを、B27から抗酸化物質を除いたB27 minus AOに切り替えた群(B27-AO群)も平行して培養し、生存率を観察した。B27で培養した群(B27群)にくらべ、B27-AO群はSAMP10、SAMR1両系統とも約1週間早く細胞死が観察された。また、蛍光プローブによる活性酸素種(ROS)産生量の解析では、B27-AO群の方がB27群に比べROS量が多いことが確認された。SAMP10、SAMR1両系統間の差については現在解析中である。また、ミトコンドリア膜電位の変化、およびグルタミン酸による細胞毒性に対する両系統間の感受性の違いについても解析を進めている。
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