研究概要 |
ラット胎児脳抽出物をショ糖密度勾配遠心法によりlight membrane画分を得た。この画分に対して2種類のアクティブゾーン蛋白質に対する抗体を用いて免疫沈降を行い、アクティブゾーン前駆小胞を独立に濃縮した。これらをSDS-PAGEで展開し、銀染色したところコントロールに対して2種類の抗アクティブゾーン蛋白質抗体特異的に共沈するバンドが〜20程得られた。 また、上記で得られる分子を解析するための解析系を構築した。シナプス形成に伴うゼブラフィッシュ嗅神経細胞軸索終末の構造変化をGAP43-EGFP, VAMP2-EGFPを用いて軸索終末の膜構造の変化、シナプス小胞の集積を可視化した。さらにダブルカセットベクターを用いて恒常不活性化型PKA及びCREBを発現させるとVAMP2-EGFPの軸索終末への集積が抑制され、一方、恒常活性化型PKA及びCREBを発現させるとVAMP2-EGFPの軸索終末への集積が促進された。従ってシナプス小胞の集積をPKA-CREBのシグナルが調節することが分かった。さらに、カルシニューリン阻害薬を投与すると軸索終末の膜構造の変化が抑えられた。カルシニューリンによるNFATの活性化を阻害するペプチドを発現することによっても同様に軸索終末の膜構造の変化が抑えられたため、カルシニューリン-NFATシグナルが軸索終末の膜構造の変化を調節することが分かった。これらの結果より、軸索終末の分化をPKA-CREBシグナルとカルシニューリン-NFATシグナルが独立に調節することが示唆された。この成果はJournal of Neuroscienceの2005年3月号に掲載予定である。
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