研究課題
Regファミリーは、膵炎や膵再生時に膵臓で誘導され、膵β細胞の増殖因子として機能する事が明らかとされている分泌型蛋白である。我々は、このメンバーの1つPAPIIIが末梢神経損傷後の神経に限局して発現誘導される極めてユニークなlesion factorであることを見い出した。さらに、組換えPAPIII蛋白を酵母発現系にて作製し、培養系マクロファージに対する効果を検討したところ、明らかなマクロファージ誘引活性を認めた。以上のことから、神経損傷時に分泌されるPAPIIIは、マクロファージを損傷周辺部に誘引することによって、変性軸索のミエリンの貧食促進を行い、神経再生を促すと考えられる。平成16年度においてはこれまでに行ってきたPAPIIIのマクロファージ遊走に対する培養系での解析を継続し行った。コラーゲンゲルを用いたマクロファージ誘引アッセイ系を開発し、PAPIIIがマクロファージに対する誘引能を持つことを証明した。さらに、PAPIII発現アデノウィルスやPAPIIIのsiRNA発現ウィルスをラット損傷坐骨神経へ投与する事によって、PAPIIIの生体内でのマクロファージ誘引能に対する効果、PAPIIIの神経再生への寄与を検討した。その結果、PAPIII発現ラットで神経再生促進、逆にPAPIII siRNA発現ラットで神経再生の遅延が認められた。今後、PAPIII受容体の取得に向けて、PAPIIIとアルカリフォスファターゼ(AP)を融合した蛋白(AP-PAPIII)をプローブとしたマクロファージ発現cDNAライブラリーのスクリーニングを行う予定である。
すべて 2004
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