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2005 年度 実績報告書

損傷グリア特異的分泌蛋白PAPIIIの機能解析と受容体の同定

研究課題

研究課題/領域番号 16700326
研究機関旭川医科大学

研究代表者

濤川 一彦  旭川医科大学, 医学部, 助教授 (50312468)

キーワード神経再生 / マクロファージ / ケモアトラクタント / Reg / PAP / アデノウィルス
研究概要

中枢神経に再生能が欠如するのに対し、末梢神経は軸索損傷に対して抵抗性を持ち再生現象を示すが、その大きな原因として損傷周囲環境の違いが挙げられる。すなわち、中枢神経損傷部位周辺にはミエリン由来の再生阻害因子が豊富に存在し、神経再生が困難であるという事が明らかとされている。これに対して末梢神経損傷部位周辺では、損傷神経から放出される因子によって損傷部位にマクロファージ(Mφ)が遊走し、効率的に変性軸索やミエリンを貪食・除去した後、速やかに炎症が収まることによって神経再生が進行すると考えられている。また、Mφは様々な神経栄養因子を産生することにより、神経保護効果の側面を併せ持つ可能性も考えられる。我々は、末梢神経損傷応答性に発現誘導され、Mφの損傷部位へ遊走を促進させる因子として、Reg/PAPファミリーメンバーの1つPAPIIIを同定した。
まず我々は、PAPIIIが損傷末梢神経で発現誘導されることを明らかとした。PAPIIIの発現変動パターンを検討したところ、MCP-1やLIFといったMφの遊走因子と同様に軸索損傷後早期に誘導される。このことから、培養系でPAPIIIのMφに対する遊走活性を検討したところ、明らかな活性を示した。さらに、アデノウィルスベクターを用いてPAPIIIをラット損傷坐骨神経で過剰に発現させると、損傷部位へ遊走するMφ数の増大、さらに神経再生の促進が認められた。逆に、RNAiでPAPIIIをノックダウンしたラットでは、遊走Mφ数の減少、及び神経再生の遅延が認められた。以上のことから、損傷神経で誘導されるPAPIIIを起点としたMφの遊走が神経再生にとって重要なシグナルの1つであることを明らかとなった。
現在、アルカリフォスファターゼ-PAPIII融合タンパク質をプローブに用いマクロファージ発現ライブラリーをスクリーニングすることによって、PAPIII受容体を同定中である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (5件)

  • [雑誌論文] Annexin III implicated in the microglial response to motor nerve injury.2006

    • 著者名/発表者名
      Konishi H, Namikawa K, Kiyama H
    • 雑誌名

      Glia In press.

  • [雑誌論文] Targeted gene therapy toward astrocytoma using a Cre/loxP-based adenovirus system.2006

    • 著者名/発表者名
      Maeda M, Namikawa K, Kobayashi I, Ohba N, Takahara Y, Kadono C, Tanaka A, Kiyama H
    • 雑誌名

      Brain Res In press.

  • [雑誌論文] A newly modified SCG10 promoter and Cre/loxP-mediated gene amplification system achieve highly specific neuronal expression in animal brains.2006

    • 著者名/発表者名
      Namikawa K, Murakami M, Okamoto T, Okato H, Kiyama H.
    • 雑誌名

      Gene Therapy In press.

  • [雑誌論文] Expression of Reg/PAP family members during motor nerve regeneration in rat.2005

    • 著者名/発表者名
      Namikawa K, Fukushima M, Murakami K, Suzuki A, Takasawa S, Okamoto H, Kiyama H
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun 332

      ページ: 126-134

  • [雑誌論文] Cell Type-Specific Intervention of Transforming Growth Factor beta/Smad Signaling Suppresses Collagen Gene Expression and Hepatic Fibrosis in Mice.2005

    • 著者名/発表者名
      Inagaki Y, Kushida M, Higashi K, Itoh J, Higashiyama R, Hong YY, Kawada N, Namikawa K, Kiyama H, Bou-Gharios G, Watanabe T, Okazaki I, Ikeda K
    • 雑誌名

      Gastroenterology 129(1)

      ページ: 259-268

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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