KvLQT1・minKの両遺伝子を哺乳類動物培養細胞に導入しI_<Ks>を再構成する実験系を用いて、I_<Ks>と細胞内カルシウム濃度との関係を研究するために、本年度はまず卵母細胞での発現用にクローニング済みであるratのKvLQT1をmammalian expression vectorであるpIRESベクターに、minKをpIRES-hrGFPベクターにそれぞれ載せ替えを行い、脂質二重膜法を用いCOS7細胞へ遺伝子導入した。導入の成功をGFPの発現で確認できたため、続いて、GFPが発現している細胞を用いパッチクランプ法を施行し、whole-cellレベルにてI_<Ks>が再構成されているのを確認した。次に、細胞内カルシウムの濃度変化とI_<Ks>の変化との関連を測定する目的でinside-out法にしたところ、電流が消失してしまう現象を確認した。この現象は繰り返し観察され、また、潅流液のカルシウム濃度が高い条件下でも低い条件下でも同様に観察されたことから、実際の細胞内には存在するが、我々が用意した潅流液には存在しない未知の物質がinside-out法下でのI_<Ks>の形成に必要不可欠なことを示唆していた。今後、このI_<Ks>の形成に必要不可欠な未知の分子の同定、及びそれを含んだ細胞外液を潅流しinside-out法にてI_<Ks>を観察できる実験系を確立し、細胞内カルシウム濃度の変化に伴うI_<Ks>の変化を測定する予定である。
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