研究概要 |
代表的なIFN誘導遺伝子である2',5'-オリゴアデニル酸合成酵素(2-50AS)は、ウイルスに対する生体防御系である「2-5A/RNaseL系」を担っていることが知られているが、その他の機能についてはほとんど解析がなされていない。マウス2-50ASは、8つのOAS1(Oas1a〜1h)とOAS2、OAS3、そして2つのOASL(Oasl1,l2)を合わせた12の遺伝子からなるファミリーを形成している。我々は2-5OASの生理機能を解析することを目的として、これまでに、ヒトOAS1のオーソログOas1a、酵素活性を持たないOas1c、酵素活性を持つOas2、およびOas1a/Oas2ダブルの遺伝子欠損マウスを樹立した。しかし、これらのマウスではRNaseL欠損マウスで観察されるような胸腺の肥大や、Oas1d欠損マウスで報告されている産仔数の減少などの表現型は認められなかった。 そこで、2-5OASとして機能的と考えられるOas1-3遺伝子クラスター(OASC)を全て欠損させたマウスの作製を試みた。遺伝子クラスターの両端にloxP配列が挿入されているOas1a/Oas2欠損マウスの受精卵にCre発現ベクターをマイクロインジェクションすることによってin vivoで約170kbの組換えを起こさせ、Oas1-3遺伝子を全て破壊した。この方法によりOASC欠損マウスの樹立に成功した。OASC欠損マウスはRNaseL欠損マウスと異なり胸腺の肥大が認められなかった。このことから、OASLによる相補作用あるいはOAS非依存的RNaseL活'性化制御機構が存在する可能性が示唆された。
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