研究課題
本研究の目的は細胞の足場ECMを自在に伸縮させることで、細胞のサイトカイン等の各種液性因子に対する応答性のスイッチング制御に迫ることであり、交付期間中に以下のことを目標として次の研究を進めてきた。それらは、1.機械的に収縮・膨潤して細胞骨格・形態を可変する培養基質ゲルの設計、2.原子間力顕微鏡イメージングによって、細胞の膜物性計測、3.変動した膜物性と液性因子、特に各種サイトカインに対する細胞の応答性の解析、であり、細胞は細胞が接着している足場の力学的変動によって細胞骨格の再構築を行い、増殖因子などの液性因子からの応答性を変動させている可能性について検討することであった。1としては温度応答性ゲルとしてN-isopropylacrylamide(NIPA)ゲルを利用することで細胞に力学的刺激を加える系を確立した。本培養系では、力学的刺激を加えた細胞の形態変化を顕微鏡下で観察しつつ、さらに細胞のシグナル伝達挙動を生化学的実験によって検証することが可能であった。その結果、細胞を等方的に伸張させることで形態変化、それに伴うArkのリン酸化が起こることが確認された。また、2においては検出系にファイバープローブを用いるに至らなかったが、細胞と足場の力学的相互作用の追従可熊な培養基質の作製に成功し、細胞の弾性挙動もAFMと併用することで解析することが可能であることを確認した。3については、液性因子として上皮細胞増殖因子(EGF)を用いることで膜弾性の挙動を追従することを試みたが液性因子をそのまま添加することでは膜弾性率の局所的な変動が追従できなかったため、EGFを直径2μmのラテックスビーズに固定化し、細胞へ局所的に刺激する方法論を確立することに成功した。
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Journal of Biomedical Material Research : Part A In press
Biomaterials 27(4)
ページ: 576
Nonlinear Optics, Quantum Optics 34
ページ: 203