研究概要 |
骨髄細胞のシアリダーゼ処理による細胞表面のガラクトース露出を蛍光標識ガラクトース結合タンパク(レクチン)のFACS解析で検討したところ,骨髄細胞表面においてガラクトース末端を持つ糖鎖が存在していることが明らかになった.このアシアロ化骨髄細胞を細胞膜染色物質PKH26で染色し,これを正常ラットに尾静注で投与したところ,処理された多くの骨髄細胞が肝臓に集積していることを明らかにした.次に代謝性肝疾患モデルラット(LECラット:ウイルソン病のモデルラット)にシアリダーゼ処理を行ったアシアロ化骨髄細胞を尾静注にて投与を行った.その結果,骨髄細胞由来の肝細胞の出現を確認することができた.そして血清のセルロプラスミンの活性わずかではあるが,改善傾向が確認された.さらに骨髄細胞由来の肝細胞が細胞融合かもしくは分化転換で出現したのか確認するために,骨髄細胞はアルブミンを発現するとDsRed(蛍光物質;赤)を発現するDsRed-Albumin promoterラットからのものを採取し,EGFP(蛍光物質;緑)を恒常的に発現する肝細胞と共培養を行った.その結果,培養条件下においてEGFPとDsRedを同時に発現している肝細胞の出現が認められ,骨髄細胞と肝細胞は細胞融合していることが明らかになった.以上のことから骨髄細胞表面にガラクトース末端を持つ糖鎖を出現させることで効率よく肝臓に集積させることができ,さらに骨髄細胞由来の肝細胞を出現させることに成功した.
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