研究概要 |
本研究の目的は,循環生理学知識の編集,共有,蓄積を効率的に達成することを可能にするシミュレーションシステムの構築を行い,生理学を専門とするユーザーにとって実用に耐えうるレベルまでにツールの基本モデル,編集機能,使いやすさなどを洗練して提供することである.さらに本研究では,体内の包括的な生理機能を含むマクロモデルと,心臓の拍動による血行動態の詳細な変化を解析するミクロモデルを結合して基本モデルとして提供する.基本マクロモデルは,Colemanのモデルを利用し,HEART(心拍出量と主要器官への血流量),CARDFUNC(心筋強度),REFLEX-1と2(交感神経と迷走神経の活動)等の25個の生理モジュールから構成される.基本ミクロモデルは,心室筋肉全体の機械的特性を時変弾性率の概念を使ってモデル化し,体内主要血管部位を含む閉塞回路を電気回路に置き換えて記述する. 開発したシミュレーションシステムは,複数のプロジェクト参画者が共同作業できるプラットフォームとしての役割を果たす.このため,オープンなインターネット上で遠隔的に運用可能かつ計算機環境に非依存なインターフェース及びモデル操作用サーバーソフトウェアを開発する.すべてのソフトウェアはインターネットとの相性が良く,複数の計算機環境に対応したJava言語でプログラム開発を行い,循環系モデルの記述は特定の企業や業界に依存していないXMLで行った.本年度は,Javaクラスライブラリを用いたシミュレーションインターフェースを構築し,マクロモデルとミクロモデルを結合した循環系シミュレーションを実現した.このインターフェースを用いて,ユーザーはモデル編集やパラメータ入力を行うことが出来る.
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