化学合成作製した種々のランダムコポリマーを用いて、各々をγ線架橋反応処理を行った後に薬物徐放試験を行った。用いたポリマーはpoly(VPGVG)(以下Vppと略)、poly[8(VPGVG)、2(VPGK(Z)G)](以下VK(Z)ppと略)、poly[8(VPGVG)、2(VPGFG)](以下VFppと略)、poly[10(VPGVG)、1(VAPGVG)](以下VHppと略)、poly[8(VPGVG)、2(VPGFG)、1(VAPGVG)](以下VFHppと略)である。各ペプチドユニットの活性エステルをトリフルオロ酢酸によりBoc基を除去した後、ジメチルスルホキシドに溶解しトリエチルアミンを加えて2週間撹拌した。蒸留水で透析後、凍結乾燥してポリマーを得た。VK(Z)ppについてはZ基を除去(以下VKppと略)し、NMR測定による反応の確認を行った。その後、Boc化(以下VK(Boc)ppと略)した。 まず、自己集合能の検討を実施した。ポリマー溶液を0.5℃/minの割合で5℃〜60℃の範囲で昇温、降温させて濁度測定を行い、全てのランダムコポリマーについて、自己集合能を有することを確認することができた。次にγ線照射による架橋反応を行った。全てのサンプルにおいてγ線照射後は温度変化により粒径が変化することが示された。また、合成したランダムコポリマーの酵素に対する安定性を調べるため、エラスターゼを用いた安定性試験を行ったところ、γ線照射後のポリマーは分解を受けにくいことが確認された。 γ線照射後の、凍結乾燥したナノ粒子にBiebrich Scarle tred(BS)を加え、色素を粒子内に取り込ませた後、37℃で24h放置して色素を包含した担体を作製した。遠心分離して上清を吸光度(490nm)で測定した。さらに上清を取り除いた後に、新たに同量のPBSを加えて同様の操作を繰り返した。この操作を毎日繰り返し、ナノ粒子からの色素徐放を検討した。γ線照射したVppは、VFHppよりも徐放量が多いことが示され、このことは粒子の大きさが関連していると考えられた。
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