研究概要 |
今年度は,開発中である脳機能解析ソフトウェアの改良と術中データを用いた脳機能解析を主に行った.まず,解析手法としてDR(deviation ratio)解析とMANN(moving average neural network)解析が行えるようになった.ただし,MANN解析についてはオフライン解析のみ可能となっている.更に,MANN解析においては,解析機能を強化するために複数の電極の影響を考慮して解析を行えるよう現在改良中である.実際に行った解析は,臨床データとして,内頸動脈内膜剥離術を施行する必要のある症例で,左内頸動脈に動脈瘤があり,コイルを用いた血管内手術の術中に一時的な血流遮断が可能か確かめるため,バルーンカテーテルにより左内頸動脈閉塞試験を行った際の計測データを用いた.解析結果については,従来のシステムを用いて行った解析と同様の結果が得られたので実際の臨床現場への応用の可能性が検証できた. なお,DR手法およびMANN解析ともに有用な結果が得られたので更に症例を増やして解析する予定である.また,DR解析の有用性を検証するために同一人物の経時的な解析が行えるよう,解析ソフトウェアを改良中である.具体的には過去の計測データを比較対照として用い,計測時のデータとの比較をDR解析手法を用いて解析が行えるようにすることを考えている.また,暗算処理,イメージの想起などの負荷を与えた際の測定を行った.次年度では,被験者を増やし,更なる解析を行う予定である.
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