研究概要 |
本研究課題は,非侵襲測定により得られるインピーダンス軌跡から等価回路モデルの各パラメータとそのばらつきを推定するアルゴリズムを構築し,組織の空間分布を把握することを目的としている.平成16年度においては研究の初期段階と第2段階として以下の検討を行った. 研究の初期段階としては,我々の研究グループが提案しているガード電極付き分割電極を用いて,組織の断層図を得ることの可能性について検討した.分割電極で測定したインピーダンスデータを周波数依存性のないパラメータを要素とする等価回路で表現し,そのパラメータ推定アルゴリズムを物品費で申請したパーソナルコンピュータを用いて構築した.等価回路モデルとしては,層状構造モデルや,腫瘍がある層状構造モデルなどについて検討した.また,測定時において皮膚と電極との接触部分に生じる接触インピーダンスを考慮したモデルや,層の厚さと境界が未知のものとして層の厚さと境界の同時推定についても検討した.このとき,パラメータの推定方法にはガウス-ニュートン法を用いた.その結果,測定したインピーダンスデータに最小誤差で適合するパラメータ値を推定することができた. また,研究の第2段階として,物品費で申請したデジタル・ストレージ・オシロスコープとノートパソコンを用いた4電極法による簡易インピーダンス測定装置を試作した.本研究では,組織を切除してその断面を見なければならないため,検証は実験の利便性を考慮して植物(今回は大根)実験により行った.その結果,非侵襲でインピーダンスを測定できることを確認できた.
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