現在、硬性内視鏡を使用する内視鏡下手術では、障害物等がある場合、斜視鏡を用いて対処するがその扱いは困難で熟練を要する。本研究では軟性内視鏡の柔軟性を持ち合わせた多関節内視鏡の開発を目指す。 本年度は以下の3つの目的を持って、手術用内視鏡の開発を実行した。 各項目についての実績を示す。 (1)脊柱型ロボット内視鏡の開発 内視鏡の動作を検証するためにモーター内蔵型とワイヤー牽引型の2通りの試作機を製作した。その機構は両試作機とも各関節部にユニバーサルジョイントを使用した。駆動力として、ワイヤー牽引型ではステップモータを使用し、モーター内蔵型には径6mmのサーボモータを使用した。 (2)コンピュータ制御による関節駆動機能 モーター制御については日本ナショナルインスツルメンツ社製ソフトウエアLabViewを用いてモータコントローラボード(PCI7344)から信号を発信し、インターフェース(UMI-7764)にドライバ及びモータを接続し制御した。ワイヤー牽引型において、1ステップにつき1.5度で、全体として30度まで安全に駆動できた。 (3)三次元モニタリング機能 製作した多関節内視鏡の動作を、側面と上面の2方向からのCCDカメラにて、動画検証を行った。これにより、形式上の三次元モニターを達成できた。しかし、各平面上の動作であり、これらの画像から内視鏡の三次元形状を連続でモニターすることは困難であった。この理由として、各平面の関節角度を算出することは可能であるが、良平面の角度を合成して、三次元形状を算出しようとすると、かなりの誤差を生じてしまうためであった。今後の予定として、直接、各関節の角度をポテンショメータ等で計測する予定である。
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