研究概要 |
効率的な内視鏡下手術の実現のため、軟性内視鏡の特徴である柔軟性と硬性内視鏡の特徴である視野の固定性を兼ね備えた屈曲操作が可能な医療用高自由度内視鏡のモデルを開発し、各性能を比較して評価を行った。 開発した内視鏡モデルは3種類である。それらは,(1)各関節にギアを内蔵したギア内臓型、(2)プーリを介したワイヤ駆動で固定しユニバーサルジョイント機構を持つ独立駆動型、(3)10関節毎にワイヤを固定しユニバーサルジョイント機構を持つ連携駆動型であった。ギア内蔵型は3種類のステッピングモータを搭載しており、各関節は回転運動と屈曲運動から構成された。独立駆動型と連携駆動型の各関節は手元に設置されたステップモータからプーリとプーリベルトを介して動力を伝達する腱駆動方式である。各関節は2つの屈曲運動から構成された。全てのモデルはファイバースコープを搭載することができる。性能評価項目として、モータステップ数に対応する関節角度と角速度とした。関節角度はデジタル角度計にて計測し、これを時間微分して各速度とした。モータの回転数に対応した理論関節角度および理論角速度を算出し、測定値との比較を行った。 (1)ギア内蔵型:理論値より僅かに大きい角度をとりながら線形に変化している傾向が認められた。ほぼ均一な角速度で安定して動作したことが分かった。 (2)独立駆動型:理論値より小さい角度をとりながら線形に変化している傾向が認められた。一定の速度で安定した動作をすることが分かった。 (3)連携駆動型:ステップ数の増加に従い、理論値との差が増加していることが分かった。一定の速度で安定した動作をすることが分かった。 動作精度において、ギア駆動が最も良かった。しかし、ギア内蔵型と連携駆動型は構造上、内視鏡に不適と考えられる。将来的には、連携独立型の関節数で正確な位置情報を取得でき、独立関節型のようにワイヤで動作をする多内視鏡が最適と考えられる。
|