研究概要 |
本研究は,リハビリテーションに重要な運動学習を客観的方法で捉え,かつ動物モデルでの脳の神経基盤を明らかにすることを第一の狙いとする.また,得られた成果に基づき,障害者の治療・訓練技術の確立のための基礎研究とする.特に近年の運動学習の研究ではドーパミン,セロトニン,アセチルコリン系などの神経伝達や,小脳,基底核,視床,前頭前野等の局在部位との関連が報告されており,我々の開発した動物モデルに抗精神病薬の投与により神経伝達を操作することで,それら脳機能の関連を比較検討する. 本年度は,実験箱を1台増設し4群同時に実験を行い,また,実験データをLabVIEWにより作成した解析プログラムで行えるようにして実験の効率化を図った. ラットに行わせるオペラント課題は,3つのレバーを定めた順序で押すもので,レバーの時間間隔を制御することですばやい動きを行わせる.これまでの我々の結果から,0.5秒以内の時間設定で課題の遂行が可能であった.そこで,この結果をより確実なデータとするため計24匹で可能な実験設定を確認した.結果は0.3秒まで課題を遂行することが可能であったが,効率を維持できたのは0.6秒までであった. その後,運動学習を獲得した実験動物(同一のラット)に投与するドーパミン系のアンタゴニストとしてハロペリドールをまたセロトニン系のアンタゴニストとしてクロザピンを用いて,その薬理作用から運動学習に対する影響を検索中である.
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