研究概要 |
本研究では,事例とルールの相補的な特徴を持つ2種類の知識からなる知識ベースを構築する.事例とルールの2つの相補的な特徴を持つ知識表現を併用することにより,知識獲得の容易化,知識適用の高速化,推論の高品質化を図る.また,事例とルールの表現・適用方法を統一することで,推論アルゴリズムの単純化,知識ベース最適化処理の効率化を図る. 本年度は,事例ベース推論(CBR)とルールベース推論(RBR)を併用する方式における,例外事例の適用の是非を判断する閾値を自動調整する方式を提案し,開発している日本語点字翻訳モジュールに応用した.本年度に開発した方式では,個々の例外事例に閾値を設定し,事例獲得に用いた学習データを利用して,閾値を自動調整することができる.上記の閾値調整方式を日本語点字翻訳モジュールに組み込み,法律関連の文書,および,コンピュータの入門書を対象として評価実験を行ったところ,分かち書きのエラーが従来の3/4程度まで減少し,点字翻訳の精度改善が可能であることを確認した. 2006年3月に開催された情報処理学会第68回全国大会,および,情報処理学会火の国シンポジウムにおいて,上記の研究成果を発表し,閾値調整の改善方法などに関して有益な情報を得た.情報処理学会論文誌に上記の研究成果をテクニカルノートとして投稿している.また,期間を限定してではあるが,サーバの公開を開始している.
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