研究概要 |
本研究では,視覚シンボルをPDAに取り入れたコミュニケーションエイドを用い,当該児に対するPDAの効果的な活用の方策を見出すことを目的とした。平成16年度は,自閉症児に対してPDAを用いて4択の「シンボル」のマッチング課題を実施し,同一シンボル及びカテゴリーシンボルのマッチングにおける正答数の差に関して分析した。方法は,4cm×4cmの視覚呈示用シンボルを児に呈示し,PDA上に表示されている4つのシンボルの中から1)同じシンボル,2)同じカテゴリーに属するシンボル,を選択させた。視覚呈示用シンボルは,名詞群15個,形容詞・副詞群18個,動詞群17個の計50個を用いた。結果,同一シンボルのマッチングでは品詞に関係なく選択可能及び名詞群ではカテゴリーシンボルのマッチングは可能,であることが明らかとなった。一方,動詞群におけるカテゴリーシンボルのマッチングは困難であり,カテゴリーシンボルの再検討が必要なことが示唆された。平成17年度は,16年度で正当率が低かったカテゴリーシンボルを新しく改良作成し,学生に対して,最も理解しやすいカテゴリーシンボルを選定するアンケートを実施した。さらに,ここで得たカテゴリーシンボルを用い,1)従来のカテゴリーシンボル,2)新しく作成したカテゴリーシンボル,における得点の差に関して,健常幼児及び自閉症児に対して,16年度と同様の方法で検討した。結果,健常幼児,自閉症児ともに,新しく作成したカテゴリーシンボルの得点が高いこと,誤答のパターンは類似していること,が明らかとなった。一方,自閉症群では,抽象的なカテゴリーシンボルでは健常幼児よりも得点が低いことが示された。カテゴリーシンボルに関して,具体的な図柄を小さくても入れておいた方が自閉症児が捉えやすいこと,健常幼児が理解できるカテゴリーシンボルは,自閉症児においても理解しやすいことが示唆された。
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