研究概要 |
本年度は,主に次の事項について開発を行った:既に考案した無線機能内蔵モニタリングシステムのユニットについて,(1)無線通信可能距離の伸張ならびに通信安定性の向上をハードウェア・ソフトウェアの両面から行い,電界強度計を応用した家電製品の使用状況を把握するセンサについては,(2)その有効性の検証(適用可能な電化製品の調査,その汎用性の確認,ならびにセンサユニット設置位置とモニタリング性能との関係の調査)を行った(本研究では,家電の使用状況が間接的に対象者の屋内行動を表していると考えており,生活習慣ならびに物理的・精神的な健康状態の推移の推定に利用できると考えている).さらに,(3)センサから得られたデータを記録するため,OSにLinuxを用いた無線受信・記録システムの開発を行った.また屋内の部屋間の移動を把握する方法として,これまで考案していたセンサユニットに焦電センサを取り付ける方法に代わり,(4)RFIDを応用したシステムの開発を行い,その可能性について検討を行った.RFIDタグは,本研究で開発したセンサユニットと比較して非常に安価であり,家屋内の複数箇所に大量に配置してもその費用は大きくならないことから,経済的には有効な手法であると考えられる.しかし,現状のシステムではRFIDリーダを対象者が常に持ち運ばなければならないため,現実的にはその導入可能性は低く,今後,このシステムについても何らかの改善を行う予定である.健常男性宅にRFIDによる行動モニタリングシステムならびに家電使用状況モニタリングシステムを導入し,前駆的な臨床実験を行った.しかし,既に考案しているセンサシステムとあわせて長期的なモニタリングをしたときの性能を評価することと,睡眠時の状態の推定ついては,来年度に持ち越すこととなった.
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