1.16年度に実施、17年度に分析を行なった、盲ろう者通訳・介助員の感情を表現に関する実験について、被検者を増やして実施した。被打点者の手を圧力センサ上に置き、計測された荷重変化から、打点荷重と打点時間、休止時間を算出した。分析の結果、「喜び」はリズミカルに打点時間を短く、「悲しみ」は打点時間を長く、打点荷重を弱く、「怒り」は打点荷重を強く打点する、感情表現方法は共通していた。被打点者が装着した加速度センサで、打点によって生じる衝撃加速度を計測し、衝撃加速度の振幅と、打点開始から次の打点開始までの区間長(打点時間と休止時間の和)を算出した。その結果、振幅と区間長による感情の判別分析によって文の感情を判別する手法を導出し、感情認識の可能性が示された。 2.16〜17年度開発した打点認識システムを改良した。被打点者が装着した加速度センサで、打点によって生じる衝撃加速度を計測し、打点された指と打点位置を認識する。打点された指の変化から、点字表記の日本語の構文解析を行ない、日本語の文字列に変換し、それを合成音声で出力する。盲ろう者通訳・介助員の打点を認識する評価実験を行なった。平均打点速度37.0文字/minの打点で、打点指の認識率は94.3%、打点位置の認識率は94.9%であった。 3.16〜17年度開発した打点教示システムを改良し、指点字習得視覚障害者と健常者のコミュニケーション実験を実施した。1分間あたりのコミュニケーション速度が21.8文字/minと限定されたものの、健常者が指点字習得視覚障害者と、指点字で直接コミュニケーションができた。
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