本研究は昨年度から来年度まで3年間に亘り、本研究者がこれまで継続的に研究してきた、性別に過度にとらわれない体育授業の在り方についての理論を、授業実践に移すことを目的としている。 本年度は、以下の通り研究を進めた。 1.本研究に関連する国内外の最新の文献資料を収集した。 2.我が国における体育授業の在り方についてジェンダーの視点から分析し、国内外(国内2回、海外2回)の学会等で発表を行った。 3.これまでに収集した文献資料及び体育授業の観察結果・観察記録をもとにさらに分析を進め、単元計画・指導案の試案作りに着手した。 本年度は特に海外での学会発表を行ったことにより、諸外国の研究者に我が国の体育授業の現状を報告すると共に、ジェンダーの視点からみた我が国体育授業の課題について、国際的な視野からの検討を加えられた。海外の研究者との議論を重ねることから、体育授業において平均値としての男女の違いにとらわれるのではなく、学習者一人ひとりの関心を高め、能力を伸ばすという観点から、個人差へ注目することの必要性を改めて感じると同時にその難しさなど、我が国の抱える課題は諸外国の体育授業に共通するものも少なくないことが明らかとなった。今年度新たに得られた知見を基に現在作成中の単元計画・指導案にさらなる検討を加えることの必要性を再認識した。
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