研究概要 |
脳の状態変化の新しい定量化方法の開発研究を目的として,人工神経回路網(ニューラルネットワーク)を用いた時系列信号解析方法について研究を行った.研究は1.脳波計測・解析システムの構築,2.解析手法の確立の2つに分けて行った. 1.脳波計測・解析システムの構築 脳波計測は現有の生体アンプ(脳波計)のアナログ信号出力を多チャンネルのA/D変換ボード(インターフェース社製PCI-3177C)を用いて数値化しパーソナルコンピュータ(デル社製OptiPlexGX270)に取り込み独自開発のアプリケーションを用いてデータとして記録するとともに,簡単な周波数解析を行い波形とともに実時間表示を行うしすてむを作成した.解析用高速パーソナルコンピュータ(アップル社PowerMacG5)を用い,ニューラルネットワークを用いた解析プログラムを作成した.また解析用コンピュータでも脳波波形の観察が行うことができるような独自開発のアプリケーションを開発した.計測データは既存のデータ蓄積用サーバに記録し,必要に応じて利用できるようなシステムとした. 2.解析手法の確立 移動平均型ニューラルネットワークによる時系列信号解析の基礎的な特性を明らかにするために,ARモデルやMachey and Glassモデルなどの単純なシステムを用いてシステムパラメータの変化をニューラルネットワークで容易に捉えることができる指標について検討し,結合荷重の大きさおよび内積による比較を用いると有効であることが示された.またこれらの指標を用いて測定した脳波の解析を行い有効性を確かめた.ただし脳波の解析に用いる時系列データのサンプリング周波数や前処理についてはさらに検討を進めることが必要である.
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