子どもたちの運動技術を習得・改善させるためには、教師の眼と子どもたちの感覚・感じを照らし合わせ、動きをよく観察しその実態を捉えることが大切である。そして、適切でない動き(つまずき)に対しては原因を究明し、動きと見た目のズレの相違を捉えて「どのように動いているのか」「どのように動けばいいのか」と言った動きのコツを伝えなければならない。ところが、体育授業においてはこのようなループを可能にするための研究は極めて少なく、これからは体育授業においても教師の主観的な観察に加えて、動作解析をはじめとする客観的な観察がますます重要になってくると考えられる。 そこで本研究では、体育授業における運動技術をバイオメカニクス的手法のひとつである動作解析により定量的に解析するものである 平成16年度は、平成17年度の本実験のために必要な情報を国内外から模索し、また、動作解析などのスポーツ工学の分野から井上伸一氏(佐賀大学)に、授業研究の分野から高田俊也氏(兵庫教育大学)に協力を得て、研究会などを通して専門的知識を提供していただきながら基礎的資料を作成している。 平成17年3月には、佐賀大学附属小学校の5年生を対象に走高跳の教材で予備実験を行った。予備実験の前に行った検討結果をもとに、簡略化したスタイルで4台のカメラを用いて授業を観察、撮影した。子どもたちの運動技術については現在解析中である。そして、実験に関する一連の流れと作業量及び問題点を確認し、平成17年度に実施する本実験の計画詳細について検討している。
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