研究概要 |
本研究の目的は,日本のテニス指導において,より科学的な視点からの指導法を構築するために,日本一流テニス選手およびジュニアテニス選手のサービス動作を,高速度VTRカメラや光学式3次元自動動作分析装置Vicon612を用いて,バイオメカニクス的側面から日本の一流およびジュニアテニス選手のサービス技術を明らかにすること,そして,競技力向上に役立つ知見の獲得及び指導法やトレーニング法の開発に有益となる知見を得ることである.分析対象選手は,日本ジュニア選手37名,プロテニス選手4名,全日本学生テニス選手5名であった.選手には,準備運動,ストレッチ,サービス練習を充分に行わせた後,プロ選手の測定は,室内のテニスコートにおいて,フォアサイド側に埋設された2台のフォースプレート上から,ジュニア選手は室外のテニスコートにおいて同様の側から,自身のペースでセンターおよびサイドに各8球,計16球を打球してもらい,その時の成功試技と失敗試技の動作を,ジュニア選手においては,VTRカメラ(60fps)を用いて,プロ選手には,高速度VTRカメラ(250コマ/秒)およびVICONシステムを用いて撮影を行い,身体各部の3次元座標算出を行った.プロ選手の体幹部の動作は伸展位でインパクトをむかえているが,ジュニア選手のPOOR時のサービス動作においては,股関節の屈曲や上体の前傾が大きく,いわゆる「つぶれた」状態でボールを打球していた.'その結果,ジュニア選手のインパクト位置は,プロテニス選手よりも低いことが明らかとなった.これらのことから,ジュニア選手は,上体の前傾や股関節の伸展位を維持するための股関節伸展筋群や腰背部のトレーニングを行うこと,また,プロ選手が示した体幹部伸展位での動作を獲得する必要があることが示唆された.
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