本研究は、水泳中の筋電図分析および水中映像分析を実施することにより、水泳選手のパフォーマンスの変化要因が身体能力および泳技術とどのように関連しているのかを明らかにすることを目的としている。そこで本年度は、予備実験および本実験を実施した。 予備実験では、正確に水泳中の筋電図を記録できるように測定方法の確認を行った。その結果、電極の張り方、防水、筋電センサのコード部分の処置、マルチモニタレコーダの移動方法等については概ね予定通りの方法で対応できることが確認された。しかしながら、圧力変化と水中映像の同期には問題が残った。手掌部に圧力センサを取り付けて水泳中の圧力変化を記録することで水中映像とEMGを同期する予定であったが、それでは困難であることが確認された。そのため、本実験ではスイッチを用いて、被験者の被験筋側の手が入水する度にトリガーを入れて対応した。 このように、圧力変化と水中映像の同期には改善すべき課題が残ったものの、本実験も概ね予定通りに実施することができた。協力を得た11名の被験者に対して200mレースのシミュレーションとして、最大努力での50m×4回のスピード泳テストを実施した。なお、休憩時間は50m毎に10秒とした。テスト終了後に測定した血中乳酸値の平均が12.6±1.6mmolであったことから、被験者は最大努力を発揮したと考えられる。したがって、今回採用したスピード泳テストが200mレースのシミュレーションとしては妥当であったと考えられる。筋電図の記録については、11名中9名の記録に成功したが、2名は防水に問題が生じたために失敗した。水中映像については、2〜3ストローク・サイクルの水中映像の録画を行った。現在は、スピード泳テスト中の泳速度、筋活動、水中動作の関係を調査するために、筋電図データを解析するためのプログラムを作成中である。
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