研究課題
平成17年度は著者が作製した咬合力システムを用いて、これをEMGアンプ内蔵型電極の携帯型EMG計測システムと同期させることによって咬合有無を判断しバランスを計測した。外乱刺激として急激な前後動揺を与えたときに生じる重心動揺を床反力計で測定するEqui Testシステム【○!R】を用いた。床の前後水平移動は、ランダムに行い各項目3回の測定を実施した。抽出されたデータは、各外乱負荷直後から実際に立ち直り動作を開始するまでの足圧中心からみた時間であるLatency(msec)を算出した。この得られたデータLatency(ms)を三元配置反復測定分散分析にて解析した。危険率は5%未満を有意水準とした。統計ソフトは、SPSS version 13.0を用いて解析を行った。Equi Testシステム【○!R】に予め設定されている外乱刺激最小時には、Latency(msec)平均推定における咬合、非咬合は129.58、131.17であり、その差は1.58で統計学的に有意な差ではなかった(p=0.3541)。しかし、外乱刺激中間値における、咬合、非咬合、その差(p値)は123.08、132.50、9.42(p<.0001)となり、外乱刺激最大値には122.17、136.08、13.92(P<.0001)と有意な差が認められた。本結果が示しているように、外乱刺激が大きくなると咬合と非咬合のLatency平均値は互いに逆方向に変化し差が拡大した。この事実は、不意な外乱刺激に対して重心位置を修正する機能が短縮したと考えられ、咬合している時のほうが転倒回避能力を含むバランス能力は良好になるという本仮説の正当性を強化できる。本研究によって立位時に不意な前後動揺が加わったとき、咬合の有無によって、バランス機能に違いがみられた。本研究結果から、咬合していたほうがバランスを崩しにくく安定性の向上に寄与するといえる。
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XVth Congress of the International Society of Electrophysiology & Kinesiology in Torino, Italy, on June
理学療法学 第41回日本理学療法学術大会(群馬)