研究概要 |
本年度は,1)小学生における身体活動の重要性の検証,および2)身体活動量増強のためのプログラム開発に用いる理論・モデルの選定を行った. まず,「小学生における身体活動の重要性の検証」に関しては,小学4年生131名を対象に,身体活動が心身の健康(怒り,不定愁訴,抑うつ,睡眠,および不安)に及ぼす影響について縦断的(2年間)に検証した.その結果,男女ともに4年生時の身体活動水準が,5年生時の健康状態(怒り,不定愁訴,抑うつ,および睡眠)に有意な影響を及ぼすことが明らかになった.このことからも,小学生における身体活動量増強のためのプログラムを開発することの意義は非常に大きいことが確認された. 次に,「身体活動量増強のためのプログラム開発に用いる理論・モデルの選定」のために,現在,人の行動変容を説明する理論として健康科学の分野で広く用いられている理論・モデル(健康信念モデル,合理的行為理論,計画的行動理論,社会的認知理論,自己決定理論,およびトランスセオレティカル・モデル)の整理を行った.その中で,各理論・モデルの長所および短所を検証し,本研究のテーマである「小学生における身体活動」に適用させる際に,最適と思われる理論を選定した.その結果,人が運動行動を採択するまでの過程を明瞭に説明し,尚且つ,運動行動を採択させるための具体的方略までを示しているトランスセオレティカル・モデルが最適であると判断した. 次年度においては,本年度の結果を踏まえ,トランスセオレティカル・モデルに基づいた身体活動量を増強させるためのプログラムの開発および実施を行う.
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