研究概要 |
本研究では,MRI法によるヒト体肢横断面(右脚大腿部横断面)画像から,骨格筋のmarbling-score(畜産研究の分野で使用される肉用牛の"霜降り度"の指標:本研究ではこれをヒト骨格筋に適用)という外的基準の定量化をコンピュータ画像処理により算出することを目的とした。 実験1-1)MRI法によるヒト骨格筋横断面画像撮影とその解析:marbling-score(外的基準)の定量化 MRI法を用いて,被験者(20名)の右脚大腿部横断面(中位50%位置)のT2強調画像を撮影し,得られたT2強調画像にコンピュータ画像処理を行い,被験者ごとに,筋組織と大腿骨及び皮下脂肪組織の大きく3つの組織に分類した。そして筋組織と皮下脂肪組織におけるT2値の平均値及びSDを算出し,ヒストグラム化した。その結果,筋組織の平均T2値+SDから皮下脂肪組織の平均T2値-SDまでの範囲のT2値に相当する画像上の組織は確実に筋組織と脂肪組織の混在するものと推定された。この筋と脂肪の混在する組織における筋/脂肪の比率を算出するため,以下の実験1-2)を行った。 実験1-2)ヒト骨格筋の擬似筋組織と擬似脂肪組織の混合比率による筋・脂肪間のT2値のscaling ゼラチンにT2緩和剤であるMuCl溶液を加え,筋組織のファントムを作成し,擬似脂肪ファントムとしてラードにSDS溶液を加え作成した。これらの混合比率を100/0,80/20,60/40,40/60,20/80,0/100(ゼラチン/ラード)とし,MR画像を撮影しT2強調画像から各混合比率におけるT2値の尺度化を行った。この尺度化された筋・脂肪の混合比率のT2値を用いて,実験1-1)で得られた,T2値で分類された筋/脂肪の混合組織における脂肪比率を推定した。 現在,この結果を基に食用肉での筋/脂肪比率について画像データと実データの比較を行っている。
|