研究概要 |
(実験1)エラスティックチューブで作成した大動脈モデルを使用し,MRIによる大動脈形状の定量的評価法の妥当性,再現性を検討した.直径10mmで長さと湾曲の状態が異なる6本の大動脈モデルを作成し,撮影の順番をランダムにして1モデルにつき2回撮影を行った.大動脈モデルの短軸方向のMRI画像を5mm間隔で撮影し,各スライスにおける動脈の中心点を3次元でプロットし,長さを算定した.この推定値と実際のモデルの長さとを比較すると,2つの値の相関はR^2=0.999で,実際の長さ(650〜700mm)と推定値との誤差は1.7±1.2mm(0.24%)であった.また,繰り返し測定した際の再現性を検討したところ,2回の測定値の相関はR^2=0.993,誤差は0.2±1.7mm(0.04%)であった.以上の結果,本法による動脈測定が高い妥当性と再現性を有することが示唆された. (実験2)MRIを使用し,大動脈形状(湾曲,長さ)を非侵襲的に評価し,健常な若齢者と高齢者とで比較すること,および大動脈脈波速度測定における大動脈形状の影響を明らかにすることを目的とした.当初,20〜30歳代および60〜70歳代の正常血圧者(両群男女各20名)での比較検討を予定していたが,19〜76歳の215名(男性92名,女性123名)において,MRIによる大動脈画像撮影および大動脈脈波伝播速度測定を実施することができた.年代別の内訳は10歳代2名(0/2,男/女),20歳代37名(20/17),30歳代34名(16/18),40歳代23名(7/16),50歳代35名(12/23),60歳代74名(31/43),70歳代10名(6/4).大動脈脈波伝播速度は加齢に伴い上昇した.大動脈形状の評価は現在進行中である.今後は高血圧者および70歳以上の高齢者を中心にデータ収集を進める予定である.
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